「ヴェール、良かったね!
あと半月もしないうちに森の民と会えるんだね!」

「ですが…光の途というのが現れるには満月の晩じゃないといけないらしいですよ。」

「あ!そっか。それがあったね。
ねぇ、レヴ、次の満月っていつ?」

「満月はほぼ一月ごとにやってくるから…
そういえば、この前の満月の日はいつだったか…」

「最近、ゆっくりと月を見ることなんてありませんでしたよね。」

そんな他愛ないことを話しているうちに、私達は行商人の町に着いた。
まず、私達は元締めのクレマンに会い、水晶の採掘場のことを訊ねた。
詳しいいきさつについては、話さなかった。
話しても信じてはもらえないだろうし、信じてもらうためにはヴェールのことも話さなければならなくなるからだ。



「水晶の採掘場……あぁ、そういえば昔そんな話を聞いたことがある。
確かここからずっと南の方だったよな?」

「そうです!場所をご存じですか?」

「いや、あいにくと俺は石は扱ってなかったんでな。
ちょっと待ってくれ。
石の事なら、フィリップの奴が詳しい。」

そう言いながらクレマンはフィリップというを呼んでくるように若い男に命じた。



「親方、フィリップは、今、旅に出てるみたいです。」

「そうか……お聞きの通りだ。すまねぇな。」」

クレマンは残念そうな顔でそう言った。



「いえ。だいたいの場所はわかってますから私達で探してみます。」

「そうかい。じゃ、気を付けて行きなよ!」

私達はクレマンに別れを告げ、水晶の採掘場を目指して歩き始めた。