「……そうだったの…
だから、この石はこんなに懐かしい感じがしたのね。
……あの人はね、行商をやめる時にお世話になった人達に自分のお気に入りの石をプレゼントしたのよ。
たいして高価なものではなかったけど、それでもあの人にとっては宝物の石だったの。
きっとお礼のつもりだったのね。」
女主人はその石に亡き主人の面影を見るように、ヴェールの胸の青い石を優しくみつめていた。
「実はお訊ねしたいことがあるのですが…」
「何かしら?」
「南の森について、ご主人から何かお聞きになったことはないでしょうか?」
「南の森…!?
……残念だけど、聞いたことがないわね。」
言葉とは裏腹に、女主人の驚きようは尋常ではなかった。
「お願いです!
どんなことでも結構なのです。
どうか、あなたがご存知のことを教えてほしいのです。」
「困ったわね…私はそんな森の話なんて聞いたことがないのよ。」
女主人に話すつもりのないことは、私にもすぐにわかった。
きっとアランに誰にも話さないように言われているのだろう。
その時だった。
「マダム、あたりを少し散歩しませんか?」
ヴェールが不意にそんなことを言い出したのだ。
女主人は怪訝な顔をしながらもそれを承諾し、わけもわからず、サリーと私はヴェールの後をついていく。
「綺麗な空だ……」
ヴェールはそんな独り言とも何ともわからない事を呟きながら、先を歩く。
店の裏手に小さな公園のような所があった。
静かで人気もない。
一人で本でも読むのに良さそうな場所だ。
「あそこに座りましょうか。」
返事を待たずにヴェールはベンチに向かって歩いていく。
女主人だけをベンチに座らせると、ヴェールはおもむろに帽子を取り、束ねた長い髪をほどいた。
私やサリーが呆気に取られて呆然と立ち尽くす中、ヴェールの長い髪は降り注ぐ明るい陽の光を浴びて本来の髪の色をさらけ出す……
「まさか、あなたは…!!」
女主人は息を飲み、ヴェールの顔をみつめ続けた。
だから、この石はこんなに懐かしい感じがしたのね。
……あの人はね、行商をやめる時にお世話になった人達に自分のお気に入りの石をプレゼントしたのよ。
たいして高価なものではなかったけど、それでもあの人にとっては宝物の石だったの。
きっとお礼のつもりだったのね。」
女主人はその石に亡き主人の面影を見るように、ヴェールの胸の青い石を優しくみつめていた。
「実はお訊ねしたいことがあるのですが…」
「何かしら?」
「南の森について、ご主人から何かお聞きになったことはないでしょうか?」
「南の森…!?
……残念だけど、聞いたことがないわね。」
言葉とは裏腹に、女主人の驚きようは尋常ではなかった。
「お願いです!
どんなことでも結構なのです。
どうか、あなたがご存知のことを教えてほしいのです。」
「困ったわね…私はそんな森の話なんて聞いたことがないのよ。」
女主人に話すつもりのないことは、私にもすぐにわかった。
きっとアランに誰にも話さないように言われているのだろう。
その時だった。
「マダム、あたりを少し散歩しませんか?」
ヴェールが不意にそんなことを言い出したのだ。
女主人は怪訝な顔をしながらもそれを承諾し、わけもわからず、サリーと私はヴェールの後をついていく。
「綺麗な空だ……」
ヴェールはそんな独り言とも何ともわからない事を呟きながら、先を歩く。
店の裏手に小さな公園のような所があった。
静かで人気もない。
一人で本でも読むのに良さそうな場所だ。
「あそこに座りましょうか。」
返事を待たずにヴェールはベンチに向かって歩いていく。
女主人だけをベンチに座らせると、ヴェールはおもむろに帽子を取り、束ねた長い髪をほどいた。
私やサリーが呆気に取られて呆然と立ち尽くす中、ヴェールの長い髪は降り注ぐ明るい陽の光を浴びて本来の髪の色をさらけ出す……
「まさか、あなたは…!!」
女主人は息を飲み、ヴェールの顔をみつめ続けた。



