「良い報せだ。
ミカエルさんのおかげで、ジャンの家にキャストライトを売りに来ていた行商の方の手がかりがわかったのだ。」

「えっ!本当ですか?」

「ヴェール、良かったね!」

「これからその人の手がかりを求めて出掛けることにしよう!」

「手がかりって…まだ、その人がみつかったわけじゃないのかい?」

「それはまだなのだが…」

せっかく盛り上がりかけた話がサリーの一言で、また沈みかけた。



「おっと、忘れるところだった。」

そう言うと、ミカエルは地図と手紙を持ち出し、レヴの前に差し出した。



「これを元締めに渡しな。ここからはちょっと遠いんだがそれほど込み入った道じゃないから迷いはしないと思う。
念のため地図描いといたからこれがありゃあ大丈夫だな。」

「何から何まで、本当にありがとうございました。」

「何を言ってんだい。
わしに生きる希望を与えてくれたのはあんたじゃないか。
礼をいうのはこっちの方さ!」

「何?何?何の話?」

サリーは興味深げに二人の話に割り込む。



「用事がすんだらまたここに立ち寄ってくんなよ。
今度来た時、ここはきっとレストランになってるからな!」

「えっ?!おじいちゃん、レストラン始めるの?」

「レストランは言いすぎか…
ま、そんなたいした店じゃないけど、食べ物屋を始めるつもりでな。」

「へぇ~…おじいちゃんの腕ならやってけるよ!
こんなにおいしいんだもん!
そうだ!用が片付いたら、あたしが店を手伝ってあげるよ!」

「そいつはたのもしいや。
あんたみたいなべっぴんさんに手伝ってもらったら、繁盛間違いなしだな!」

「その代わり、私の給金は高いよ!」

サリーとミカエルは顔を見合せ、大きな声で笑う。



サリーが今までどんな暮らしをしていたのかはわからないが、本当にここでミカエルの手伝いでもしながら穏やかに暮らしていければ良いかもしれない…
私はふと、そんなことを考えた。