十五の石の物語

「アランさんとおっしゃる方なのですか!
それで、その方は今でも行商を続けられているんでしょうか?」

「いや、奴はわしと同じような年だが、もうずいぶんと前に足を洗った。」

「その方は二十年前は確かに行商されてましたか?」

「安心しな。
それは間違いないさ。
……そういえば、何やらおかしなことを言い初めてから、奴も評判が悪くなってな。
そのうち、足を痛めてやめたんだと思ったが…」

「おかしなこと…?」

「そうなのさ。
なんでも森の妖精だか緑の妖精だかなんだかに会っただとか言い始めて、その妖精のお守り石なんて物を売り始めてから胡散臭い奴だと言われるようになってな…
あんな嘘つきの売ってる物はまがい物に違いねぇ!って評判が立っちまって、宝石も売れなくなってきたんだ。
奴もなんでまたそんなくだらねぇ嘘をいうのか、わしにもわからんかった。」



(間違いない…!そのアランなる人物こそが
ジャンの母親にキャストライトを売りに来た行商人。
森の民のことを知っている人物なのだ…!)

私は興奮で震え出しそうな身体を、拳を握り締め無理に押さえた。



「ミカエルさん、貴重なお話をどうもありがとうございました。
とても助かりました。
それで、アランさんは今どこにいらっしゃるのでしょうか?」

「わしの話が役に立ったかい?
それは良かった。
だが、アランのことについちゃあ、何も知らないんだ…」

「では、行商人の町に行けば、わかるでしょうか?」

「いや、奴がやめたのはもうずいぶんと昔のことだからおそらくわからんだろうな。
奴はそんなに友達の多い方でもなかったし…
……いや、待てよ!
そういえば、アランの息子が一時行商をやってて…
まぁ長続きはしなかったんだが、確かそいつと仲の良かった男が今でも行商を続けてはずだ。
少なくとも二年前にはまだいたから、今でもいるんじゃないか。」