十五の石の物語

「実は、行商人の集まる町があると聞いてきたのですが、その町は一体どこにあるのでしょうか?」

「行商人の誰かに用でもあるのかい?
わしの知ってる奴なら手紙を書いてやるが…」

「いえ、特定の人物ということではないのです。
知りたいことがあって…」

そう言い掛けて、私は気付いた。



(そうだ!
行商人が宝石を売りに来たのはジャンが子供の頃の話なのだから、今から二十年は昔の話ではないか!
それなら、わざわざ行商人の集まる町へ行かずとも、このミカエルに話を聞けば良いのだ!)



「ミカエルさん、二十年程前は、あなたも行商をなさっていたのですよね?」

「そうさ、二年前までは現役さね。
腰さえ痛めなきゃもうしばらくは続けてたかもしれねぇな。」

「ここから北の方へ山を一つ越えた所に小さな町があるのをご存知ですか?」

「あぁ、あそこならしょっちゅう行ってたが、その町に何かあるのかい?」

「その町のはずれに屋敷があるのをご存知でしょうか?」

「もちろんさ!
あそこの夫婦はものすごい買い物好きでな!
行商に行って何も買ってくれないなんてことはないのさ。
鴨なんて言っちゃあ気の毒だが、つまらないものを売りつけてた奴もいたようだな…
しかも、あんなことになっちまって…」

そう話した所で、ミカエルの顔が急に曇った。