十五の石の物語





「このソースはフランボワーズですね?」

「そうともさ!
ソルベとすごく相性が良いだろう?」

「そうですね。
しかも、味だけではなくこの美しい色合いは若いご婦人方の目をも楽しませてくれると思いますよ。
きっと評判のデザートになると思います。」

そう言って、私はソルベをまた口に運んだ。



「嬉しいことを言ってくれるね。本当にそう思うかい?」

「もちろんですとも…!
それに、先程から気になっていたのですが、食器も見事なものをお使いですね。」

「これまた嬉しいことを言ってくれるねぇ…!
これは皆、行商時代に買い集めたものなんだ。
一人暮らしのくせに食器ばっかり買って、ミカエルは変な奴だって言われてたんだが、食器も料理の一部だと思うんだ。
あの頃はもう料理のことなんて忘れたと思ってたが、やっぱり心の底じゃ忘れてなかったんだな…」

ミカエルはそう言って、ぼんやりと遠くをみつめる。
きっと、昔のことを思い出しているのだろう。



「良いではありませんか。
この食器達ももうじき陽の目を見ることになるのですから。
ミカエルさんのおっしゃる通り、美しくセンスの良い食器は美味しい料理をさらに引き立ててくれるものです。
あなたのレストランはきっと繁盛しますよ。」

「……ありがとうよ。
あんたとは初めて会ったのに、こんなに親身に話を聞いてもらって…
感謝してるぜ…
あ!そりゃそうと、あんた、行商人のことを聞きたいって言ってたな!」



(…あ…!)

ミカエルのもてなしとほんの少し飲んだワインのせいか、私はミカエルの熱い話に夢中になって大切なことを忘れてしまっていたことをようやく思い出した。