十五の石の物語

ヴェールの返事を聞いた途端、サリーの表情が変わった。
そして、突然、立ち上がり、洗面所に向かう。
ばしゃばしゃという激しい水の音が聞こえたかと思うと、しばらくすると頭をずぶ濡れにしたサリーが戻った。



「サリーさん!!どうなさったんです!」

「……レヴは朝から一度も帰って来てないの?」

「えっ?…えぇ…
レヴさんとはご一緒ではなかったんですか?」

「……あたしのせいだ……」

サリーは頭を抱え、がっくりとうなだれた。



「何かあったのですか、サリーさん!?」

「……ヴェール、ごめん…
久しぶりにこんな大きな町に来たら、あたし、急に酒が飲みたくなったんだ。
ここんとこ、ほとんど飲んでなかったし、もしかしたら今度こそやめられるかもしれないと思ってたんだけど…
……やっぱりダメだった…
でも、ちょっとだけ飲んだら、本当に真剣に探すつもりだったんだ。
これだけは信じてほしい!
……なんて、虫が良すぎるかな…」

「サリーさん…私は信じますよ。」

「……ヴェール」

ヴェールの優しい態度に、サリーは返す言葉を失った。



「……サリーさん、それで、酒場で何かあったんですか?
レヴさんと何か?」

「……あたしが悪いんだよ…
母親のことを言われると、ついカッとしちまって…」

「お母さんのこと…?」

ヴェールにはまるで事情が飲み込めず、サリーの言葉をただ鸚鵡のように繰り返すだけだった。