VALEN-TINE

あたしがギロッと怖くにらみつけると、

「やだー鈍い上に怖いだなんてー、困っちゃう~」

わざとぶりっ子の真似をしていう茅莉乃。
あははと笑ってあげたけど、内心どうなんだろ。
てか、“笑ってあげた”の時点から内心どうでもよさそう。
あたしってなんて腹黒いの!
これは完全にわかりきってることなんだけどさ。

「あたしってそんなに鈍いんだ?」

「じゃなーいのー?」

お前も鈍いよ、そんな本当の心を自分で押し殺しながら話す。

「でも、かりたんも鈍いと思うんだなーあたし」

「どういう意味よ!」

そういう意味よ!心の中の突っ込みもかなり痛々しく、むなしい。