リコリス燃ゆる




ふと、遠くから足音が聞こえた。


石壁で囲まれた広い倉庫内はいやに音が響く。

今だって何発かの銃声がまだ耳の奥でこだましているのだ。



「主、此方も終わりました」


闇の奥から現れた、黒スーツを纏う女。

ワンサイズ大きなスーツは肩部分が垂れ下がり、靴もヒールの無い男性モノ。


色気もなにもあったものじゃない…と言いたいが、白い肌の首筋が不気味なほど綺麗だった。



数少ない、俺が気に入る部下であった。



「お疲れ様、レイン。
間違いなく全員仕留めたろうな」

「はい。」