明日もどうせ早いから。
どうせ俺は当分生きなきゃならないから、できる限り死に急ぐのはやめようか。
倉庫を出て扉を閉めた。
そこで、くちにくわえた飴がいつの間にか噛み砕かれて飲み込まれたのに気付く。
またポケットから飴を取出し、口にくわえた。
「証拠いんめーつ」
倉庫の壁に火をつけた。
舞い上がりながら燃える炎は、俺が好きな花のよう。
別名を、死人花。
あの世にも咲く不吉な赤い花。
「さ、今度こそ帰るか」
背を向けて歩きだした。
景色は望み通りに蒼白い月光で包まれていた。
馬車はそのうち迎えにくる。


