「だからさ、ちょっと訳ありでね。」

 山城が片目を閉じて言う。その姿に悪寒を感じつつ、


「どういうコネだよ。」

と、半ば呆れて返してやった。

 すると、山城は至極真面目な顔をしてこう言った。


「この小惑星、仮番までついてるんだけどさ。発見者、亡くなってんの。」

「は?」

「で、どうしても、その人が名付けたかった小惑星の名前を、代わりに付けてあげたくてさ。」

 山城は茶目っ気たっぷりに舌を出す。可愛さの欠片もなかったが、僕は黙って話をきいてやった。