「だからさ、ちょっと訳ありでね。」
山城が片目を閉じて言う。その姿に悪寒を感じつつ、
「どういうコネだよ。」
と、半ば呆れて返してやった。
すると、山城は至極真面目な顔をしてこう言った。
「この小惑星、仮番までついてるんだけどさ。発見者、亡くなってんの。」
「は?」
「で、どうしても、その人が名付けたかった小惑星の名前を、代わりに付けてあげたくてさ。」
山城は茶目っ気たっぷりに舌を出す。可愛さの欠片もなかったが、僕は黙って話をきいてやった。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…