月の骨




「いえいえ。真っ向からやりあったところで、あなたに適うはずもない。過去のことは、もう決着が付いている。」

「そうだ。今更蒸し返す話ではない。」

「蒸し返されたくない?」

「私に非は無い。」


 斎藤は言い放つ。僕は下腹がキュッと締め付けられるのを感じた。

 さっきから心臓の動悸が激しいし、息苦しい。もう立っているのがやっとな気がする。でも、

「本当に?」

 僕は聞かずにはいられないのだ。



「本当に彼女を殺したのはあなたじゃないのか?」