「随分舐めたものの言い方だが、年上を敬えとは教わらなかったか?」 斎藤は明らかに気分を害したようで、ゆっくりとこちらを振り返った。 体つきはそこまで大きくないのに、独特の威圧感がある。和服を着ているせいかもしれない。恰幅の良さが強調されている。剥げ上がった頭は、毎日剃っているのだろう。磨かれたように光り、カミソリ傷なんて勿論ない。眉は黒々しく、見開かれた両目の上に眉尻を上げて鎮座している。 この男だけは、五年前と何一つ変わっていないように見えた。