月の骨


 彼のテリトリーに入り込むのは、これで二度目だ。


 普段緊張しない僕も、さすがに気が張り詰める。


 油断してはならない。

 弱みを見せてはならない。

 虚勢を張るのは構わないが、最後まで張り通さなければならない。


 でなければ、僕なんて存在はあっという間に消されてしまう。


 斎藤はそういう奴だ。