月の骨


 それから五分くらい、門の前で待たされた後、唐突に門が開いた。門から出てきたのは、グレーのスーツを着込んだ、僕よりも少し若い男だった。おそらく、斎藤の秘書だろう。


「お待たせして申し訳ありません。」


 と、彼は丁寧にかつ事務的な口調で言って、軽く頭を下げた。


「こちらこそ、急に押しかけて申し訳ない。」


「斎藤がお会いしたいそうですので、こちらへ。」


 僕の一応の謝罪は軽く流され、彼は僕を門の中へとエスコートした。