「仏壇、置いてないのか?」 「墓もない。知ってるだろ?」 僕は山城を睨みつけるようにして言った。そうでもしなければ、僕はこの男とまともに話なんてできなかった。 「そうか、悪かったな。変なことを聞いて。」 山城は、ばつが悪そうに鼻の頭を掻いた。 「手を、合わせたかっただけなんだ。」 なら、月に向かって手を合わせればいい。 僕は心の中で呟いた。