月の骨



 その時の朔夜は、湯気が出るくらい真っ赤な顔をしていて、一部始終を見ていた僕も、真っ赤になった。

 それから、健全な男子学生らしく少し残念な気分になる。



「立てますか?」

「すいません。」


 僕は朔夜の手を引いて、立ちあがらせた。彼女は乱れた長い黒髪を手櫛で整え、ワンピースの埃を払うと、僕に向かって微笑んでお礼を言ってくれた。