月の骨



 よほど忙しかったのだろう。口許の髭は伸び、髪は艶を失い、頬もいくらか痩けていた。


 実は、僕もまったく似たような格好をしている。


 中年の小汚ない男が二人、暗がりで向き合っている姿はさぞかし滑稽なことだろう。


 山城はむしゃむしゃと無言でパンを食べ、牛乳も飲み干した。


 それで、ようやく落ち着いたらしい。