月の骨






 山城がやって来たのは、明け方になってからだった。


 見張りの若い研究員は、椅子の上で船を漕いでいる。


 昼間、昼食用にと差し入れられた菓子パンと牛乳が、机の脇に放置されたままだった。


 食欲なんてもちろんない。


 最初はコンビニ弁当を持ってきてくれていたが、僕が食べる意思がないからと言うと日持ちする菓子パンになった。

何も出さない、というのはさすがにまずいと思ったのだろうか。


 そんな気遣いは不要だというのに。