僕は一連の報道を、会社の研究室の小型テレビでぼんやり見ていた。 部屋の入り口には、若い研究員が座って本を読んでいる。 彼らは、山城の命令で僕を見張っているのだという。 僕が逃走するのを、ではなく自殺するのを心配していると山城は言った。 朔夜のいない世界なんて、生きていても死んでいても同じだ。 だからわざわざ自殺なんてする気はない。 山城にそう言ってやりたかったが、彼とは機構で別れたきり、会っていない。