月の骨




「ここの端末から探査機にアクセスして、秘密裏にトラブルを改善するんだ。」


 山城は続ける。


「公表は一時間だけ待ってもらう段取りだ。」


「一時間か……。」


「不足か?」


「いいや。十分だよ。」



 僕はそれだけ言うと椅子を引き、立ち上がったばかりのパソコンの前に陣取った。


 一時間も必要ないのは間違いない。


 探査機は予定通り組み込まれたプログラム通りに進行している。

 帰還命令の予備動作命令が掛かると、地上側のアクセスを受け付けなくなるようにわざと設定したのだ。


 僕はあらかじめ設定した別コードで探査機にアクセスし、USBの中にあるプログラムをインストールさせればいい。