月の骨




 エレベーターが停止した。僕も山城の後をついてエレベーターを降りる。


 一瞬、妙な緊張感にとらわれ、僕は両手ともジャケットのポケットの中に手を突っ込む。


 右手の指先がポケットの中のUSBに触れ、思わず握りしめた。



 山城から呼び出された時、自宅から持ってきたものだ。



 この小さなプラスチックの塊の中に、全ての鍵を握る大事なプログラムが保存されている。