月の骨



 怪訝そうな僕の表情に、山城は気付いたらしい。


 彼は落ち着いた表情で言った。


「よくある政治家の都合、ってやつらしい。」


「どういうことだ?」


「先のK国総裁の死去を受けて総理大臣のC国訪問が急遽決まった。

宇宙開発と軍事開発は紙一重だからな。C国を牽制するネタがほしいんだろ。


だから、月面離脱の予定を早めた。」


 山城は淡々と喋った。