朔夜の遺骨は、そのほとんどを灰にして散骨した。 撒いたのは、学生のころに二人で通った、あの人里離れた高台。 彼女が好きだった星空に抱かれて、安らかに眠れるように。 誰の助言も聞かず、僕一人の判断で。 そしてもう一つ。 彼女の最後の言葉を叶えるために、僕は彼女の遺骨を小瓶に詰めて、月へと飛ばした。 開発された月面探査衛星の一部に隠して。