瀬野の「友達」が自分だという事に、意味はない。

とんとんとん、

階段を上りながら、怜は何度目かの溜息をつく。

―――なんでこんな事に。

実は、瀬野の事はクラスの男子の中でも気になっていた。
ただ、それだけ。

恋愛感情とかはなくて、憧れの様なもの。
誰とでも仲良くできる瀬野が羨ましくて、
でも、他人に媚びている様には見えなくて、
いつだって自然体の瀬野に惹かれていた。