9時になりショートホームルームが始まる。
担任の毛むくじゃらこと、吉田先生が教室に入ってくる。
ひげと髪の毛と体毛でもうもさもさなのだ。
私はひそかに熊先生と呼んでいて
実は一番愛着のあるあだ名だったりする。


「青葉~」
「はい」

「大西~・・・遅刻っと」
「河合~・・これも遅刻」

「北川~」
「・・はい」

大体クラスの3分の1は遅刻だ。
基本欠席者は登校拒否の織野さんを除いては
いないことが多い。
みんななんだかんだ言ってアホなこと
したり友達と会うのが楽しかったりするのだ。

「野中~・・遅刻・・」

ガラッ

「はーい!!おい、セーフだからな」

「葵ギリギリ~」

「馬鹿!狙ってたに決まってんだろ」

「「アハハハ・・」」

熊先生はうつむいてさっきつけかけた
遅刻の印を黙って消した。

「お、いーんちょー!!俺いーんちょーの横!!]

私のとなりの佐々木君がすごすごと席をたつ。
彼、おとなしくてまじめでよかったのに。

「この前席替えして野中君とは離れたはずですが」

「そんなの知らねっ!ねえねえっ
いーんちょーパンツ見して!」

そういって私のスカートに手をかけようとする
野中君の手を払ってぐいっと野中君の顔に
顔を近づける。

「嫌っですっ」


野中 葵。
ちゃらちゃらしていて香水臭いし
こうゆう人間が一番嫌い。
そのくせなぜか私にちょっかいばかり
かけてきて本当に迷惑。


この真面目な見た目のせいで
面白がられて、笑いものにされて。
女として見られてないことはわかってるけど
私だって恋愛したいし、
可愛くだってなりたい。
いつか私にも付き合える時が来るなら
紳士的な人と付き合うの。

・・そう、野中君みたいな人とは正反対のねっ!