「不機嫌そうね。」

コンビである悠里は、小鳥のアタックを軽々受けながら軽く言った。

「当たり前じゃん!」

小鳥はついつい入ってしまう力を加減しながら、わざと悠里が取りにくいアタックを繰り返した。

「雑誌に載るなんて私には羨ましいけどな?
しかも特集で♪」

悠里はそう言うとニヤリと笑った。

「良いじゃない、小鳥は元々有名なんだから。」

「…そういう事じゃなくて!
いいよもう…
はい、交代!」

今度は悠里のアタックを小鳥が受けた。

「小鳥は大学ではバレーやらないの?」

「えっ?
どうだろ…
まだ大学すら決めてないし。」

小鳥の言葉に悠里は驚いたように目を丸めてから、呆れたような困ったような笑顔を浮かべた。

「そう…
じゃあ、この夏が最後かも知れないわけだ。」

「そうだね…」

周りは元気にアップ中なのに、小鳥と悠里だけは妙にしんみりと、そしてどこか温かい空気が流れていた。