そんなモヤモヤした気持ちを抱えたまま、終業式の日を迎えた。

夏休みを楽しみにしている生徒の中で、小鳥は一人居心地の悪い気分だった。

体育館の妙な熱気が気持ち悪かった。

「…なので、皆さんくれぐれも節度のある生活を心がけてください。
始業式に元気な姿で会えることを楽しみにしています。


校長の話は長くて、椅子に座っているのもしんどくなってくる。

美魅と璃里はちゃっかり隠し持っていた文庫本を読みながらニヤニヤしているし、少し前に座っている大将は校長の声を子守唄にしながら、頭をガクガク揺らしている。

小鳥はどんどん気持ち悪くなってきて、全身に冷や汗が流れるのを感じていた。

「全員起立。」

生徒指導の掛け声に応えられずに、小鳥はうつ向いたまま座っていた。

「「小鳥ちゃん?」」

美魅と璃里の心配そうな声にも返事ができないでいると、ぐっと肩を掴まれて体が浮くのを感じた。

ふわふわと心地好い揺れと、ざわざわと騒がしい声。

ゆっくり薄らいでいく意識と、目を開けたい気持ちとが混ざりあったが、小鳥はゆっくり意識を手放した。