三者面談が終わると、校内は一気に夏休みムードに突入する。

美魅と璃里は進学を国立大学に絞ったようで、学部違いで同じ大学ならどこでも良いらしい。

大将は中学から続けてきた陸上で推薦が何校かあるらしく、より一層部活に精を出している。

小鳥は志望校が決まらないまま夏休みを迎えることになったが、とりあえずどこの大学に行くとしても余裕で合格圏内に入っていることが唯一の救いだった。

「進路ですか…」

放課後の学食。

「そうなの…
ユッキーは将来の夢とかある?」

「僕は警察官になりたいんです。
で、町の平和とか守れる男になりたいんです!」

幸村と向い合わせでコーヒーを飲んでいた小鳥は、目を輝かせながら夢を語る幸村が羨ましく思えた。

「そっか。
ユッキーなら大丈夫だね♪」

小鳥がそう言うと、幸村は恥ずかしそうに笑った。

いつの間にか進路を決めていた美魅と璃里、引く手数多の大将。

対して自分は何もないと思うと、焦りより先に寂しさが込み上げてくる。

小鳥は幸村にバレないように、小さくため息をついた。