「…あぁそう…」

美魅と璃里は必死で小鳥のノートを書き写していた。

普段から真面目に授業を受ければ何でもない試験なのだが、普段からやる気のない美魅と璃里にとって試験は一大事件だった。

といっても美魅と璃里は常に平均以上を保っているから大丈夫そうだが、問題はその得点内容にあった。

美魅は理数系が得意で、何も勉強していなくても満点に近い点数を取る。

逆に璃里は文系が得意で、こちらも何もしなくても満点に近い点数が取れる。

だから互いに教え合えば良いだけの話だが、二人とも教えるという行為が恐ろしく下手で、ともすれば共倒れになるという間抜けな話だった。

だから試験前は、必ず小鳥のノートを写していくのだ。

しかも上手く要点だけをまとめて書き写すので、一生懸命授業を受けている小鳥より分かりやすいノートになるというオマケ付きだった。