「美魅、璃里、舌打ちはやめなさい。」

小鳥が呆れ顔で言うと、美魅と璃里は不機嫌そうに頬を膨らませた。

「「駿くんが、恨めしい。」」

「さっきまで羨ましいだったのに!?」

駿の悲しそうな声に、小鳥と大将は思わず吹き出してしまった。

「何、何?
なんの話?」

楽しそうな笑いに小鳩がコーヒーを運びながら戻ってくると、美魅と璃里は甲斐甲斐しく小鳩を手伝い、小鳩と大将は必死に笑いを堪えた。

「小鳩ちゃんが羨ましいんだってさ。」

「「違う、駿くんが恨めしい。」」

「だから、なんの話?」

まったく話が進まないまま、久々に賑やかな時間が過ぎていった。

「で、結局何しに来たの?」

「「そうだった!!」」

夕食後のまったりとした時間だったが、小鳥と大将の叫び声で一気に騒がしくなった。

「駿ちゃん、今後は昔の話禁止ね!?」

「次に噂が広まったら恨むからな!」

小鳥と大将の睨みに、駿は困ったように頷いた。

「昔は可愛かったのにねぇ、駿。」

「そうだね…」

「「可愛いくないから!!」」

駿と小鳩の懐かしむような会話に小鳥と大将が怒鳴ると、美魅と璃里がクスリと笑った。

小鳥と大将も顔を見合わせて苦笑いを浮かべた。

少しだけ距離が近付いたような気がした5月だった。