暖かい日が、暑い日に変わりつつある5月。

新一年生達が部活に入部し、校内もかなり賑やかになってきた。

三年生の階は片や受験ムード、片や就職活動とバタバタし始める時期に差し掛かっていた。

しかし、このクラスだけは流れに外れて妙に穏やかだった。

「姉様、先程の体育もお見事でした♪」

「姉様、何か飲み物買ってきましょうか?」

4月以来派閥抗争は収まったが信者が減るわけもなく、小鳥と大将は姫や王子やと祭り上げられていた。

「大丈夫、ありがとう。
それより…
そろそろ普通にして欲しいんだけど…」

小鳥が苦笑いを浮かべると、周りは慌てたように首を振った。

「同じクラスになれただけでも贅沢なんですから!」

「他の皆に恨まれちゃいますよ!!」

それでも感じる疎外感は嫌なもので、自分にだけ敬語なのは少し、いや、かなり寂しく感じていた。