「ヒロ…
ありがとう。」

小鳥が微笑むと、大将はゆっくり小鳥に歩み寄った。

「…我慢できるかは別だけどな。」

そう言うと、大将は小鳥を抱き締めた。

そのとき初めて小鳥は、大将との目線が近くなっていることに気がついた。

「…ヒロ、大きくなったね…」

「…相変わらず失礼なやつだな。」

大将はそう言うと、困ったように笑った。

そして二人は目を合わせて少し恥ずかしそうに笑った。

夕日に照らされて、二人の頬が赤く染まっていた。



こうして、ようやく二人はスタートラインに立つ事になった。 

これから過ごす日々は輝いているような眩しすぎるような、期待と不安と気恥ずかしい気持ちが溢れる日々に思えた。

そんな9月の二人を、夕日だけが温かく見守っていた。