「位置について、ヨーイ…」

ピストルの音と同時に大歓声が起こり、第一走者が走り出した。

騒がしいの中で小鳥は一人静かな気持ちだった。

今までの大将との日々が頭の中を駆け巡っていた。

生まれてから毎日同じように過ごしてきた。

小さい頃から些細なことで喧嘩し、その度に紫音に泣きついていた。

大将が大会で初めて優勝したときは、自分のことのように喜んだ。

大将が変わってしまった日々は、すごく哀しくて悩んだ。

それでも大将が応援に来てくれた大会は、正直嬉しかった。

頭の中を駆け巡る大将は意地っ張りで、でもどこか優しくて、そして不思議なくらい安心できる自分がいた。

「第五走者、用意してください。」

委員の声に小鳥と悠里は位置についた。

「スッキリした?」

「どうかな?」

小鳥がニヤリと笑うと、悠里は呆れたように笑った。