「それでは第一、第三、第五走者の人は反対側の位置に向かってください。
第二、第四、アンカーの人は着いて来てくたさい。」

アンカーである大将は、小鳥を見ることなく行ってしまった。

「小鳥、第五走者でしょ?
行くわよ。」

悠里は苦笑いを浮かべながら小鳥を引っ張って歩き出した。

「聞いて欲しい?」

「…まとまってないから…」

「じゃあ聞かない。」

「…ありがとう。」

「何か言って欲しい?」

「…何か言ってくれるの?」

小鳥はすがるように悠里を見つめた。

「そうねぇ…
何かに悩んだりつまずいた時は、今までの出来事を思い返すと良いかもね。」

「今までの…」

小鳥は悠里の言葉を聞いて、静かに大将を見つめた。

遥か遠くにいるのに、大将の姿だけはすぐに見つけられた。

「多分答えはすぐ見つかるはずよ?
自分の中にあるんだから。」

「自分の中に…」

小鳥は静かに目を閉じた。