「美魅は?」

「…知らん。」

「小鳥ちゃんは?」

「…知らん。」

「…つまんない。」

「…良いから大人しくしてろ!」

美魅と小鳥が居ないことに不満そうな璃里は、大将の長ランの裾を揺らしながら退屈をまぎらわしていた。

赤組のメンバーはハラハラとそんな二人を見ていた。

「ひーくん、そろそろリレーだよ?」

「…お前が離してくれたら行けるんだけどな。」

「青と白に追い付かれちゃったね。」

「…リレーで挽回するから。」

「小鳥ちゃん居ないね。」

「…もうすぐ来るだろ。」

「何かあった?」

「…別に。」

「璃里には内緒?」

「…そうじゃないけどさ。」

璃里は不満そうに長ランを引っ張った。

「…俺行くから、これ頼むな。」

大将は器用に長ランを脱ぐと、逃げるように入場ゲートに向かった。

「…逃げられた。」

不機嫌な璃里を他所に、赤組のメンバーは安心したように息を吐いた。