あんなやつ大嫌い

「借り物競争スタートです!」

放送部の掛け声に合わせて競技が始まった。

「大将がどうして借り物競争なんですか?」

順番待ちしている生徒は、不思議そうに大将を見ている。

「寝てたら…
小鳥に仕込まれた。」

大将が呆れたように言うと、周りからクスクスと笑い声が上がった。

「だから借り物の内容次第では、絶対小鳥に復讐する。」

「復讐って、仲良しですね♪」

「別にそんなんじゃねーよ…」

大将は呆れたように笑った。

そして大将の順番になった。

「位置について、ヨーイ…」

ピストルの音と同時に走り出した。

借り物競争と障害物競争か混ざったようなこの競技は、まず最初にネットをくぐり、次に平均台、そして塀をよじ登り、更に跳び箱を飛んでから指令カードを取る。

カードを取るまでは大将が断トツ一位だったが、カードを手にした瞬間大将は固まってしまった。

「ヒロー!!
何固まってるの!?
早く、お題は!!??」

続々とお題を探す生徒を他所に、大将は真っ青な顔で立ち尽くしたままだった。