あんなやつ大嫌い

「大将先輩!
本当にかっこ良かったです♪」

偶然同じ組だった幸村は自ら応援団に立候補し、マネージャーのように大将の後を付いて回り世話をしていた。

「ありがとな。
幸村も気合い入れていけよ?」

「おっす!!」

大将に言われて幸村は引き締まった顔で頭を下げたが、今にも地面に擦りそうな長ランは可愛い以外の何物でもなくて、密かに赤組のアイドル的存在だった。

「まもなく第一競技の棒倒しが始まります。
一年生は入場ゲートに集合してください。」

「あっ、俺行ってきます!」

「ユッキー長ラン!!」

慌てて駆け出した幸村を呼び止めて、着たままだった長ランを脱がした小鳥が笑顔で一年生を送り出した。

こうして体育祭が幕を開けた。