そんなとき、助けてくれたのはいつも、 兄ちゃんだった。 俺にとって兄ちゃんは、スーパーヒーローで、 俺の憧れそのものだった。 いじめられてても、母ちゃんはいなくても、 それなりに楽しくて、それなりに充実していた澤口家。 ある日、父さんが 新しい母親をつれてきた。 父さんの仕事の手伝いをしていて、 母ちゃんがいるころから、 澤口家と仲がよかったらしい。 母ちゃんが死んで、男ばっかになった澤口家の花になっていたのが、 新しい母親、 真知子さんだった。 俺が、10歳になったころだった。