何が起きたかと、ぱちぱちまばたきを繰り返すあたしに 「もう悲しくない?」 彼が心配そうに聞いてくる。 「…うん」 「よかった」 彼は安心したように 笑うと、こめかみに人差し指をあて、こつこつとリズミカルに小突きだした。