「あたし、そろそろ帰るね」

「どこに?」

どこに、って…

詩音に聞かれ、言葉につまる。

「家に帰るなら、送る」

コスモスから名残惜しげに視線を切り上げた詩音に、あたしは首を振った。

「家に帰らないの?」

「うん」

「じゃ、どこに行くの?」

「海…」

ぽつりと言った自分の言葉に、物悲しくなり眉を寄せると

「オレも行く」

詩音が答えた。

「え…なんで?」

詩音の言葉に驚き、思わず聞くと

「陶子が行きたい場所なら、オレも行ってみたいから」


そう言って、行こうとあたしの手をひいた。