「俺に捕まっていてね」


「えっ――― うわぁ!!」


自分でもかわいくない声をあげたと思う。

“きゃっ”とか、かわいく言いたかった。


「ちょっ、松田さん!?」


「その足じゃ砂だらけになるからね」


どうやらあたしの考えは松田さんには、お見通しだったみたい。


松田さんに抱き抱えられて、あたしは松田さんの首に手を回している。


「大人しいね」


「だって……」


すごい恥ずかしいんだもん。

松田さんの首に顔を埋めたいけど…… それもそれで、恥ずかしい。


松田さんは何が嬉しいのか、鼻歌交じりで歩いている。


カチャッと車の後部座席が空いた。

少しの間、留守にしていただけだけど…… モワッと熱い空気を感じる。


「ちょっと座っていてねー」


「はい」