パシャパシャ足で水を弾く。


でも、一人で遊んでいても楽しくない。

松田さんのとこに行きたくても……。


「足、汚れちゃうな……」


明日は当然、濡れているわけでこのまま行ったら足は砂だらけになる。

タオルなんて気の利いたもの、持ってないし。

ハンカチは車の中だ。


…… どーしよ。


困っていたら…… “紗雪ちゃん?”と、上の方から松田さんの声が聞こえた。


「どうしたの?」


「えっ、なんでも無いです」


「満足するまで遊んだ?」


「はい」


「もう、戻る?」


遊んだと言えば、遊んだけど……。

どうやって、戻ろう。

サンダルが砂だらけになるのはいいけど、松田さんの車を砂だらけにするわけにはいかない。