車は海岸沿いを走る。


「松田さんって、泳げるんですか?」


「水泳程度なら」


「すっごーい」


「紗雪ちゃんは?」


「水泳は苦手です」


だから、海は見るだけで充分。


ここは海水浴場から離れているせいか誰もいない。

たまに遠くの方に船がある程度だ。


「降りてみたい?」


「降りれる場所があるなら……」


“なら探してみっかー”と言って、松田さんは車を走らせる。


キラキラ輝く海に、たまに香る海のニオイ―――。


「連れてきてくれてありがとうございます!」


運転する松田さんにそう言うと…… 。

楽しげに笑いながら、松田さんに返された。


「まだまだ、これからだよ」