気にしないで―――。

今日の運転のお礼…… には少ないけど、感謝の気持ちでもあるんだから。


「いくらだった」


「お金なんていらないです」


「でも……」


「いらないです」


頑なに断りつづけるあたしに諦めたのか“ありがとう―――”と言って、缶コーヒーを受け取ってくれた。


その様子にあたしは頬は緩み、自分もオレンジジュースを封を切った―――。


車は再び高速を走る。


最初のようなぎこちなさは無くなり、会話が弾む。


そんなとき、松田さんがふと―――気がついた。


「紗雪ちゃんは“コーヒー”じゃないんだね」


「えっ……」


「ほら“オレンジジュース”だからさ」


それはあたしの飲み物について言っているんだとすぐに気がついたけど。


「オレンジジュースとかも好きなんだ」


「はい、好きです」