それから――― 俯きながら、あたしは松田さんの車に乗り込んだ。

当然、助手席。


車に乗っても、なにを話していいかわからない。


「紗雪ちゃん?」


「はい」


前を向いたまま松田さんに話しかけられる。


「もしかして、眠い?」


「そんなこと、無いです」


「そっか、よかった。 なんかさ、今日って無理矢理誘った感があったから紗雪ちゃんにも用事があったかなーって。 ほら、アドレス知らないし、全然会わなかったからね」


「今日、楽しみにしていました」


「そっか、ありがとう」


車は気付かない内に高速を走っていた。


時々、サービスエリアに寄って休憩をとる。


松田さんがお手洗いに行っている間、売店をウロウロしていたら、缶コーヒーが目に入った。