「じゃっ、行こうか」


「はいっ……」


テストも無事に終わり、夏休みに入った。

夏休みになってすぐに“遊びに行こう”って松田さんに誘われた。


「車だけど…… 車酔いはしやすい?」


「そんなことは、無いです」


「そっか、了解」


私服の松田さんは何度か会ったことあるけど…… 今日は一段とカッコイイ。


お姉ちゃん曰わく、これは“デート”らしい。

デートなんだけど、松田さんからは“デート”なんて言われたこと無い。

今日の待ち合わせの時間だって、全部お姉ちゃんのケータイに着たので決定だったし。

それにいまだにあたしは、松田さんのケー番は知らない。


知りたいな…… とは、思うんだけどなかなか聞く機会がない。


階段を降りている松田さんが振り向いた。


「そういばさっ」


「はい」


「俺、紗雪ちゃんのケー番知らないんだよね、 だから、あとで教えて」


「はい……」


願ってもいなかったチャンスがやってきた。