「松田さーん」


「……」


あれ、返事が無い。

…… どうしたのかな?


「松田さん?」


あたしに背を向けている松田さんに少し近づきながら声をかけた。


近づいているあたしに気づいてないのか手元の書類に真剣だ。


「松田さん?」


「…… ん、紗雪ちゃん?」


やっと気がついた!


「ご飯、出来ました」


「あー、そっか。 ごめん、ありがとう」


バサッと書類を裏返しに置き、松田さんは立ち上がる。


「お皿を運ぶだけ?」


「あっ、そうですけど…… 少しなのでできます」


「いーのっ。 紗雪ちゃんは座っていて」


肩をポンっと叩かれて、あたしの横を通り過ぎていった。


あれだけ言われたら、あたしの出る幕は無いような気がする。

なので、大人しく座った。