さて…… 簡単にだけと、掃除は済ませた。

夕ご飯の買い出しにも行った。


「作るぞー」


腕捲りをして…… これから、松田さんに食べてもらう夕ご飯を作ろうと思う。

松田さんの好き嫌いは、知らないけど……。


「クラムチャウダーで、いいよね?」


クラムチャウダーは、ただ…… あたしが好きなだけ。

まぁ、いいよね?


松田さんに気に入ってもらえるように、あたしは作る。

作ることに集中していたら…… 軽快な音が響いた。


「はーいっ!」


「紗雪ちゃん?」


松田さんだ!

松田さんと分かっていながらも、松田さんの声が玄関越しに聞こえるだけで嬉しくてたまらない。

たった、1日。

たった、1日離れていただけなのに。


「お仕事、お疲れさまです」


「ありがとう」


自分でも呆れるくらい嬉しくなって。


「上がってください」


いつもより、積極的な自分がいる―――。