本当に、松田さんにはよくしてもらった。

“よくしてもらった”と言うより…… “よくしてもらいすぎた”かも。


「明後日には帰るから」


「うん、お仕事頑張ってね」


お姉ちゃんと軽く話して、電話を切った。

あたしも電気を消して、布団に入る。


目を閉じて浮かぶのは――― 松田さん。

耳に残るあたしを呼ぶ、優しい声。


「寝れるのかな?」


ごろりと、寝返りを打つ。


松田さんと一緒に過ごした時間が濃すぎたせいで、興奮している。

明日も松田さんは来てくれるって言ってくれた。

一人で寂しいこの連休も、松田さんが来てくれるから寂しくなんかない。


明日こそはちゃんとご飯、作っておこう。

それで松田さんに食べてもらうんだ!


…… あー、でもな。

松田さん、料理がうまいからな。

あたしの料理なんて食べてくれるかわからないな。

松田さんの料理…… 美味しかったな。


二本の針が重なる頃――― あたしは夢の世界に旅立った。